に野生動物などの生物資源および人間による海岸の利用状況に関する情報など、流出油に対して脆弱な指標に関する情報を加えるなどとしたうえで、一九七九年テキサス州沿岸域を対象に試作を行い、以後このマツプをES(Environmental Sensitivity Index)マップと呼ぶことにした。
同年、テキサス州沿岸のメキシコ湾イギストック一号油田の暴噴により発生した大規模油流出事故の際に、この試作されたばかりのESマップが、流出油の漂着が予想される沿岸域の環境影響を検討し、防除計画を策定する際の資料として、実際に使用され大きな効果を挙げた。
不幸にして生じたこの事故は、事実上ESマップ整備の必要性を行政機関はもとより、広く防除関係者に認識させるきっかけとなった。
その後、米国の各行政機関の環境問題全般に関する調整機関としての役割を持つNOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration=米国海洋大気庁)による資金援助が、RPI杜のESマップ整備事業に対して行われた。
RPI社は、この資金援助をもとに、科学的な根拠に基づくESマップの作成マニュアルを開発、米国のセンシティビティ・マップの作成マニュアルとしてNOAAの承認を得た。
RPI社は、このマニュアル作成の実績を最大のセールスポイントとし、五年に一度NOAAにより行われてきたESマップ作成の受託権利に関する企業間の競争に勝ち続け、その実績を年々着実に積み重ねていった。こうしてRPI社は、全米沿岸域を対象としたESマップの委託作成事業を順次進め、現在にいたっている。
ESマップは、センシティビティ・マップのひな型として世界各国で高い評価を受けている。既にフランス、ドイツ、イタリア、ナイジェリア、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、マレーシアおよびニュージーランドなどの国々で実施されたセンシティビティ・マップの整備・普及事業のほか、0PRC条約のセンシティビティ・マップに関するガイドラインにおいても、ESマップの基本概念が積極的に取り入れられている。

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四、事業内容
=平成五年度=
当協会は、平成五年度にセンシティビティ・マップに関する基礎調査を実施した。
本調査は、既に世界各国で整備・普及が進められているセンシティビティ・マップについて、わが国沿岸域への活用のあり方などを検討することを目的としたものであった。従って、わが国でセンシティビティ・マップの整備・普及が求められている背景を明らかにしたうえで、海外事例の収集および整理を行い、その概念および構造を解析し、わが国沿岸域における活用のあり方についての検討を進めていった。
本調査は、運輸省および海上保安庁の協力のもと、関係官庁および関係団体ならびに学識経験者により構成される調査研究委員会を組織して実施した。
本調査では結論として、わが国の実情に即した形で早急にセンシティビティ・マップの整備・普及事業を進めていく必要があるという趣旨の提言を行うとともに、マップ作成に関するガイドラインを作成した。
本調査の結果、わが国の実情に即した形で作成されるセンシティビティ・マップを「沿岸域環境保全リスク情報マップ」と呼ぶことにした。
〈沿岸域標境保全リスク精鋼マップ整備の遠め方〉抜粋
当協会が実施したセンシティビティ・マップに関する基礎調査の

 

 

 

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